津波被害のスリランカを調査/下野新聞

最終更新: 2019年8月30日

國井修 長崎大教授に聞く

津波被害のスリランカを調査

感染症流行の危険性大


 長崎大熱帯医学研究所 熱帯感染症研究センター の國井修教授(国際保健 学=大田原市出身)は一 月十六日から二十九日ま で、文部科学省派遣のスリランカ調査団長とし て、スマトラ沖地震によ る津波の被災地を訪れ、 健康被害の状況や感染症 流行リスクの調査を行っ た。國井氏は六日までに、下野新聞社の取材に対し 「現在のところ明らかな感染症流行はなかった が、今後のリスクは高い。 感染症は一度発生すると、急速に拡大する。未 然の防止策と、発生したときに対応する現地の人 材育成に協力していきたい」と、継続的な支援に 意欲を示した。

 國井氏は被災地支援の ため、同省が約四十人の 専門家を集めて立ち上げた「スマトラ沖地震感染 症対策プロジェクトチー ム」のリーダー。

今回の調査ではスリラ ンカ政府、国連機関、非政府組織(NGO) のほ か、今後連携を強めてい くコロンボ大やペラデニ ア大の専門家と相次いで 協議。実際に被災地も訪れ、百カ所以上で飲料水 の大腸菌簡易検査を行 い、避難所の三百五十世 帯に聞き取り調査を実施 した。

 「避難所では政府にま だ報告のない赤痢の疑い のある人がいた。デング熱、マラリアも散見され た。飲料水はまあまあだ ったが、使用禁止になっ た井戸水を飲んでいる子 どももいた」という。ま た感染症を媒介する蚊が 増えていることや、東部 では来月雨期が終わるため、さらに流行のリスクが高まると指摘し、きれ いな飲料水の確保や蚊対 策の必要性を強調した。

 ただ世界保健機関(WHO)が年初に行った、 感染症により被災地でさ らに十五万人が生命の危 険に直面するとの警告に ついては「そこまでは増 えないと思う」との見方 を示した。

 現地では多くの医療従 事者も被災し、新たな人 材の確保育成も急務とい

う。

 また津波襲来で被災地 の生態系が崩れ、従来と は異なる蚊が発生し、想 定外の感染症を媒介する 危険性もあるとして、今 後はプロジェクトチーム の昆虫生態学者らととも に、生態系の変化も注視 していく、としている。

 國井氏は自治医大卒。 東大大学院講師、外務省 政策アドバイザーなどを 経て昨年十月から現職。

 長崎大熱帯医学研究所 は今後、被災地を訪れる 人たちなどを対象に、電 話による健康相談に応じ ている。同研究所、電話 095-849-738

下野新聞社のインタビ ューに応じ、被災地へ の支援の在り方などに ついて話す、長崎大熱 帯医学研究所熱帯感染 症研究センターの國井 修教授=東京・永田町 の国会記者会館


※本記事の掲載日時は不明です。




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